「NHK 核クライシス」考

「地表爆発は空中爆発より残留放射能が多い。だから空中爆発より地表爆発の方が怖い」
というNHKの主張に対して反論。

原爆において恐ろしいのは残留放射能よりもむしろ、原爆炸裂の瞬間に大量に発せられる放射線の方です。
放射線により体を構成する細胞が破壊されると、様々な「急性放射線障害」が発症します。
致死量以上の放射線を全身に浴びると、重度の急性放射線障害を発症し、殆どの場合2週間以内に死亡します。
ただし最近の日本の医療体制であれば、致死量の放射線を浴びても数ヶ月生きることが可能なようですが、最終的に死は免れないようです。
広島・長崎においては、爆心地から近い地域いた人や遮蔽物のない屋外にいた人は、致死量以上の放射線を浴び多くの人が2週間以内に死亡、あるいはそれ以下の放射線でも数ヶ月以内に白血病を発症し多く死亡しています。
原爆の死者数のうち、熱線・爆風の直接的影響による即死者が半数、残り半数は後遺症で後から死亡とされていますが、この後遺症で死亡とされる人のうち、炸裂時の放射線による急性放射線障害での死者が大部分を占めると言われています。

急性放射線障害の怖さを示すエピソードとして1つ。
広島の爆心地において、コンクリート造りの建物の中にいたために、熱線や爆風に晒されることなく無傷だった人が数十人単位で結構多く居たそうです。
助かった人達が一緒にまとまって爆心地から避難していきました。
数日後、爆心地からの脱出組のグループの人達が、次々と高熱を出して死んでいったのです。
その中で唯一、鉄筋コンクリート製のビルの地下室にいた1人が、同様の高熱を発しながら辛うじて生き残りました。他は全員死亡。

広島・長崎での急性放射線障害による死者が何万人もいたために、放射線量と人の死亡の因果関係については結構はっきりと分かっています。
それに対し、残留放射能による影響で人がどの程度死ぬかは実は不明確です。
確かに広島・長崎においても残留放射能による被爆による死者も、少なくない数が報告されています。
しかし、少なくないと言っても炸裂時の放射線を直接浴びて死んだ人の数と比較すると桁違いで少ないようです。

さて、番組で取り上げられた地表爆発についてですが、核が地表爆発すると爆心地には巨大な穴が開き、爆心地付近では誰も生き残れないと思われます。
しかし、爆心地を数百メートル離れれば、熱線や放射線は建物に遮られて到達することができなくなります。熱線や放射線による死者数は、空中爆発の時より圧倒的に少なくなります。
そして、番組で述べられていたとおり、残留放射能の量は地上爆発の方が圧倒的に多くなります。
しかし残留放射能は、人がほとんど死んでしまう爆心地にとどまり、拡散しません。
爆心地から離れた人は、今の時代であればみな放射能の怖さを知っているので、広島・長崎の時のように後からわざわざ爆心地に入っていくことは無いと思われます。
従って、恐らく残留放射能による死者は少ないと思われます。
確かに残留放射能が多いため、爆心地に人が戻れるようになるまでに、より時間がかかるという問題はありますが。

なお、番組中で「地上爆発では爆風が何度も反射を繰り返し云々」という下りがありましたが、画像を見る限り反射した爆風は明らかに威力が低下しており、破壊力を持っていないと思われます。
さらには、空中爆発において爆風の破壊力を増す「マッハ効果」が地上爆発では全くありません。
地上爆発では爆風の効果は非常に限定的と思われます。

以上により、地上爆発による死者は、空中爆発による死者に比べ、多く見積もっても数分の1にしかならないと思われます。
というか、そんなことは昔から専門家の間では常識です。
核爆発で最も怖いのは空中爆発というのが明らかだから、アメリカは広島・長崎で空中爆発をさせたのです。
その常識を覆し「地上爆発の方が怖い」という嘘により人々の恐怖心を煽るのは何故?
日本に対し空中爆発による核攻撃をする能力がないテロ国家の味方でしょうか?
そもそも、番組に登場した「専門家」は一体何の専門家なのかが疑問である?
恐らく多くの一般人が騙されたに違いない。

なお、電磁パルス攻撃を行うためには、コンプトン効果を発生させるために地上50kmの成層圏界面よりも上で核爆発を起こす必要があり、それだけの距離を置いても地上に電磁パルス攻撃で効果的な破壊を行えるためには、水爆程度の破壊力を持つ巨大核爆弾が必要です。
そして、恐らく何十トンもの重量があると思われるその巨大核爆弾を高々度に打ち上げるための巨大ミサイルも必要です。
これを実行するには中共並の力が必要なのですが…。

眞悟の会ランキング拉致問題の解決に西村真悟の力が必要だ!と思ったらクリック!

コメント

論説コラムはどなたがかかれているのですか。
to フアン様 毎度のご購読、ありがとうございます。 まず、前回も一度書かせて頂きましたが、当ブログの投稿担当は私です。ですので、一旦私を経由してブログに投稿されるわけです。その為、投稿者の名前が総て私の名前になっちゃいますので、総ての投稿を私がしていると誤解されています。 先日も「いやー、堀田さん。非常に広範な知識をお持ちで・・・」と感心されました。 質問の「答え」ですが、論説コラムへの投稿は幹事全員の持ち回りで行っています。
古い話にコメントを付けて恐縮です。 NHKの当該番組は拝見しておりませんが、この件、地上爆発の方が被害が大きくなるというのが正しい見解です。 核爆発による熱線・放射線および衝撃波の到達範囲は、確かに空中爆発の方が広いのですが、距離減衰が大きいため、範囲は所詮限定されたものにしかなりません。 それよりも、核爆発によって放射化された所謂「死の灰」がもたらす被爆被害の方が重大です。 地上爆発では、この死の灰が大量に発生し、非常な広範囲にわたって危険な放射能汚染がもたらされるため、空中爆発よりも被害が甚大になるのです。 このあたりの詳細につきましては、『核爆発災害―そのとき何が起こるのか』(2007年、中央公論新社、高田 純著)に記述されております。 この本は、放射線防護学の専門家が広島、ビキニ環礁・セミパラチンスクなどの核実験場の実例を科学的に分析・検証し、核爆発によっていかなる現象が生じ、それがどのような被害を及ぼすかを詳細に記述しています。 以上、僭越ながら、ご参考まで。

コメントを投稿

上に戻る
「真悟の会・堺」表紙に戻る

「真悟の会・堺」〒599-8272 大阪府堺市中区深井中町1253-1 深井諏訪ビル401 西村真悟・堺事務所内 「真悟の会・堺」

電話 072(277)4140 FAX 072(277)4309 メール: shingonokai@yahoo.co.jp

Copyright (C) 2005-2008 Shingonokai Sakai. All rights reserved.